化学工学論文集
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石炭-メタノールスラリーの迅速熱分解
三浦 孝一橋本 健治前 一広脇保 英之
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1994 年 20 巻 6 号 p. 926-933

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抄録

我々は, 最近2種類の石炭の新熱分解法を提出した.一つは, 水素供与性溶剤で膨潤した石炭を不活性雰囲気で迅速熱分解する方法 (method I) で, この方法により全揮発分, タール収率を大幅に増加できた.もう一つの方法は, 溶剤蒸気中で石炭を迅速熱分解する方法 (method II) で, この方法によると二次的気相反応を制御してベンゼン, トルエン, キシレン (BTX) の収率を選択的に増加させることができた.本研究では, 工業的なプロセスで上述の2つの方法を実現する手段として, 石炭-溶剤スラリーの迅速熱分解を提案した.粒子落下型装置を用いて, 豪州褐炭 (Morwell) から調製した石炭-メタノールスラリーを923~1123Kで迅速熱分解した結果, 全揮発分, タール, BTXの収率を大幅に増加することに成功した.1023Kでは, タール収率は23.3kg/100kg-coal, BTX収率は7.8kg/100kg-coalにも達した.次に, メタノールスラリーにテトラリンを添加すると, さらに全揮発分, タール収率が増加することを示した.また, 石炭-水スラリーを本熱分解法の原料として利用する可能性を検討するために, 水を添加したスラリーの熱分解も実施した.

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