化学工学論文集
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石炭, バイオマス, 廃プラスチックの高効率共熱分解法の開発
三浦 孝一橋本 健治前 一広井上 真司
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1994 年 20 巻 6 号 p. 918-925

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抄録

石炭あるいはバイオマスと廃プラスチックを共熱分解し, それぞれ単独で熱分解した場合よりも転化率, 液収率を増加させる方法について検討した。まず, 石炭あるいはセルロースと各種プラスチック, 架橋ポリエチレン分解Wax, オリノコタール, 石炭液化残渣を単純に混合した試料をCurie-point pyrolyzerを用いて共熱分解した結果, セルロースと架橋ポリエチレン分解Waxの組み合わせの場合のみ, 転化率, 液収率が大幅に増加した。これより, 効率的な共熱分解には, 両者を官能基レベルで緊密に接触させるとともに両者の熱分解速度を一致させることが重要であることが明らかになった.この知見に基づき, 石炭-Wax系で液収率を増加させる新しい共熱分解法として, 石炭を298Kの過酸化水素水で酸化処理し非共有結合サイトとなる酸素官能基を導入したのちWaxで膨潤処理してから熱分解する方法を提出した.酸化改質・膨潤処理した石炭を1037Kで熱分解すると, 全揮発分収率, 液収率は大きく増加した.この増加は, 石炭の架橋形成反応の抑制とWaxから石炭への水素移行の促進によってもたらされることがわかった.

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