化学工学論文集
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回転型円板膜モジュールによる醤油おりの濾過
松下 幸之助兼国 伸彦野垣 久板倉 郁夫清水 康利渡辺 敦夫
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1995 年 21 巻 1 号 p. 66-73

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抄録
多管状型および回転型の2種類のセラミック膜モジュールを用いて, 醤油おりろ過を行った.まず, 種々の細孔径のメンブレンフィルターを用いて醤油おりのろ過を行い, 膜透過液の醤油としての品質に着目して膜細孔径を選定した.膜細孔径は, 膜透過液の微生物数, 2次おり発生, 呈味成分および色度成分に影響すること, 膜細孔径0.1~02μmの精密ろ過膜で醤油と同等品質の膜透過液が得られるものの, 限外ろ過膜は不適当であることがわかった.つぎに, 膜細孔径0.15μmのセラミック膜を用いた多管状膜モジュールと回転型円板膜モジュールによる醤油おりの膜分離特性を比較した.両膜モジュールの膜透過流束は同程度であったが, 醤油おりの濃縮倍率は後者が大きくなった.回転型円板膜モジュールの濃縮倍率が大きくなるのは, 多管状膜モジュールに比べ膜モジュール入口と出口の圧力差が小さく, 従来よりも大きな平均線速度の設定が可能であるためと考えられた.また, 回転型円板膜モジュールでは, 遠心力の作用により膜透過流束が減少するため, 膜面流速には最適な範囲があることも確認された.回転型円板膜モジュールのスケールアップは, 外径を大きくするよりも, 膜枚数を増やすほうが有利であることが明らかになった.
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