コークス乾留時において炉内伝熱・物質移動に重要な影響を及ぼすと考えられる主亀裂生成・進展機構の解明を目的として, コークス塊内熱応力解析を行った.本モデルでは, 軟化溶融層の膨張, 熱・機械的物性値の昇温速度依存性, 軟化溶融層およびセミコークス層のクリープ特性, 主亀裂進展および主亀裂内輻射伝熱を考慮した.推算される主亀裂先端での応力拡大係数とコークスの破壊靱性値の比較により主亀裂進展条件を決定した.小型乾留炉における主亀裂進展および変形挙動を解析結果と比較した結果, 両者は良好な一致を示した.また塊内に生じる加熱面に垂直な微小亀裂および加熱面表面の微小亀裂生成を予測することができた.