化学工学論文集
Online ISSN : 1349-9203
Print ISSN : 0386-216X
ISSN-L : 0386-216X
褐炭液化二次水添触媒の開発
プレアスファルテンおよび灰分濃度の活性低下に及ぼす影響
兼子 隆雄蔭山 陽一升永 俊雄
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 21 巻 6 号 p. 1110-1119

詳細
抄録

褐炭液化二次水添触媒として開発されたCa-Ni-Mo/Al2O3触媒について, 活性低下に及ぼすプレアスファルテンおよび灰分量の影響を調べ活性低下機構について考察した. Ni-Mo/Al2O3触媒に比べて, Ca-Ni-Mo/Al2O3触媒では炭素質の析出が少なく高濃度のプレアスファルテンを含む原料の場合でも活性低下が小さいことがわかった.いっぽう原料中灰分濃度が高い場合には著しい活性低下が認められ, 粒子径が小さなアルカリ金属を含む灰分は, 容易に触媒の内部まで侵入し活性点を毒すると考えられる.また反応器入口側で触媒物性の変化が大きいが, 細孔容積の低下は炭素質の析出に起因し, 灰分中の金属成分の蓄積により触媒細孔が閉塞する可能性は小さいことがわかった.これらの結果から, 運転初期の触媒への炭素質析出と灰分中のアルカリ金属 (Na, K) の蓄積が活性低下の原因であると考えられる.

著者関連情報
© (社)化学工学会
前の記事 次の記事
feedback
Top