化学工学論文集
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炭酸塩液相汚染によるDIR-MCFC用改質触媒の活性劣化
杉浦 公彦大竹 一友
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1995 年 21 巻 6 号 p. 1170-1178

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抄録

DIR-MCFCにおける改質触媒の炭酸塩液相汚染に着目し, 汚染量の生成水素量への影響について積分型反応装置を用いて実験を行った結果, 汚染量の増加と共に, 生成水素量は指数関数的に減少した.その要因として, (1) 反応場の拡散律速への移行, (2) 触媒活性表面積の減少, (3) 触媒活性を示すNiの化合物化の3つを考え, これらの要因について反応速度論的アプローチと触媒表面分析を行った.その結果, 触媒有効係数はほとんど1となり, また, 気相バルクと触媒表面とのメタン分圧降下率は2~3%程度であるため, 反応場は十分反応律速場に保たれていることがわかった. また, EPMA, X線構造分析から, 触媒中のNiは金属 Ni であり化合物化されてはいないが, その触媒表面上の濃度は, 汚染量が増加すると共に減少していることがわかった. これらの結果より炭酸塩液相汚染機構は, 炭酸塩が触媒中のNiに物理吸着することによる触媒活性表面積の減少のためであることがわかった.
また, DIR-MCFC運転時における最大許容汚染量について検討した結果, 約2mass%を越えると運転不可能となることがわかった.

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