1995 年 21 巻 6 号 p. 1161-1169
水素同位体分離に用いられる疎水性Pt触媒の活性に対する硝酸, 硝酸塩および酸化窒素などの不純物の影響を評価するために, これらの窒素化合物を反応物に混入して同位体交換反応速度の経時変化を測定し, 触媒活性サイトの収支に基づいて活性劣化機構を検討した.
その結果, HNO3は可逆的な被毒を示し, 硝酸被毒による触媒活性劣化速度はZeldovich速度式により解析することができた. Sr (NO3) 2のような中性の硝酸塩は触媒活性に殆ど影響せず, ZrO (NO3) 2のような加水分解により酸性を呈する硝酸塩はHNO3と類似な被毒挙動を示した. また, NO, NO2, NH3は何れも触媒を被毒せず, 逆にNOまたはNO2による H2/HDO 間の交換反応の促進効果が認められた. これはNO, NO2とH2間の発熱反応に伴う触媒表面の局部的な温度上昇に基づくものと推察された.