化学工学論文集
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アモルファス合金を出発原料とする水素化触媒の調製
高橋 武重甲斐 敬美
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1995 年 21 巻 6 号 p. 961-971

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抄録

ベンゼン及び二酸化炭素の水素化反応をジルコニウムを含むアモルファス合金から調製された触媒を使用して行った.アモルファス合金は, 作製した状態ではほとんど活性を示さないが, 同一合金を繰り返し使用して, 酸化・還元・水素化反応を行うと徐々に活性が向上した.使用済み合金の表面積は, 繰り返し操作とともに大きくなり, これにはジルコニウムの酸化がこれに大きく寄与することが合金のキャラクタリゼーションから明らかになった.
アモルファス合金が結晶化温度以下で酸化されると, 結晶化合金よりも大きな速度でジルコニウム及び水素化反応に活性を持つ金属 (Pd, Pt, Rh またはNi) の双方が同時に酸化されるが, 水素処理によって, 後者が金属状態に還元されるのに対して, 酸化ジルコニウムはそのまま残された.この結果, アモルファス合金は徐々に酸化ジルコニウムを担体とする触媒へと変化して行くことが結論された.この触媒の最大の特長は, 水素化活性種となる金属含量が高いにもかかわらず, その分散度が高いために, 反応器体積を小さくできる点にある.
ジルコニウムを含むアモルファス合金は, 水素化触媒を調製するためのすぐれた前駆体になることを示した.

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