化学工学論文集
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軽・重質油水素化脱硫反応における触媒活性劣化の動力学的モデルと解析法
出井 一夫山本 靖夫山崎 初太郎
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1995 年 21 巻 6 号 p. 972-983

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抄録

石油留分の水素化脱硫反応における触媒活性劣化の主な原因は, 留出油では炭素質の付着によるものであり (コーク劣化), 残油では炭素質および重金属分 (主に Ni, V) の付着によるものである (コーク・メタル劣化).本論文では実用触媒の水素化脱硫活性に及ぼすコークとメタルの影響の定量化について検討した. 著者らは軽油, 減圧軽油および常圧残油による長期触媒劣化試験結果にもとづき, 軽・重質油水素化脱硫反応における触媒活性劣化の動力学的モデルとして, 触媒上に存在する色々な活性種の減少速度をそれぞれ 1 次であると仮定して導出した連立1次劣化速度式を提案した. そして更に, 連立 1 次劣化速度式においては, 失活する活性種を易失活性活性種と難失活性活性種の2種で近似して劣化関数を導出するとともに, その解析法を見出した. その結果, この劣化関数が広範囲な水素化脱硫反応領域における様々な劣化挙動を正確に表現でき, コーク劣化およびメタル劣化のいずれにも適用できる有効なモデルであることが確認された.

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