1977 年 3 巻 1 号 p. 41-47
定常状態にある蒸留塔内の組成分布を求めるため, 今まで多くのアルゴリズムが発表されてきた.一般にこれらのアルゴリズムは, 繰り返し法なので時間がかかる.この方法は前回の結果または別の方法で計算された塔内の温度, 組成分布から出発して, パラメータを変えたときの一連の分布を試算を用いないで求めるものである.
計算方法は次のとおりである.連立方程式を解いて変数の増加分を求める.この方程式を解くためガウスの消去法を修正し, 新しい解法を提案した.増加分を元の変数に加えて新しい変数とする.物理的意味から考えて正になるべき変数が負になれば, 写像してこの変数を正に変換する.
実用的見地からパラメータとして還流比, 特定段の温度を選んだ場合について詳しく述べた.計算結果をトリダイアゴナル法で求めたものと比較してある。両者の計算結果がよく一致していることから, 本法が有効なものであることがわかる.