1989 年 37 巻 3 号 p. 291-295
物質に光を当てると音が出る。こんな現象を発見したのはなんと100年も前のこと, 電話の発明で有名なベルによってである。当時は奇怪な現象として, チンダル現象で有名なチンダルやX線の発見者レントゲンまでまき込んで-大論争を起こしたようである。これは当時光音響効果と名付けられたが, 永らく忘れられた存在となっていた。再び注目され始めたのは, ほんの10年ほど前のことである。今度はもう忘れられることもなく, ユニークな分光法として, さらに非破壊評価技術として飛躍しようとしている。どこがユニークなのかその一端をのぞいてみよう。