化学と教育
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油の化学と栄養 : まちがっていた油の選択(<特集>話題を探る)
奥山 治美
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1992 年 40 巻 9 号 p. 575-579

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抄録

炭素数18のリノール酸(二重結合2個)とα-リノレン酸(同3個)は植物が作るが, 動物体内では作られない。α-リノレン酸の方が融点が低い。そして環境温度が低いと植物はそれを多く作る。穀類には一般にリノール酸が多く, それを餌とする家畜はこの群を多くもつ。一方, 野菜やプランクトンの食物連鎖にある魚介類はα-リノレン酸群を多くもつ。この食物連鎖は人にも当てはまり, 脳神経の脂肪酸まで食物の選択によって変わる。これが頭の働きからがん, アレルギー, 成人病にまで影響を及ぼす。高リノール酸植物油は従来の考えとは逆に, 成人病の危険因子であることがわかった。

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© 1992 公益社団法人 日本化学会
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