化学と教育
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土壌の塩類化と砂漠化(<特集>話題を探る)
松本 聰
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1992 年 40 巻 9 号 p. 585-589

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抄録

地球の陸上の約30%という広大な面積は乾燥地または半乾燥地土壌で覆われ, そのままでは生物生産性はきわめて低い。近年, これらの土地に莫大(ばくだい)な資金を投入し, 灌漑(かんがい)農業開発が行われるようになった結果, 飛躍的に生物生産が向上した。しかし, 反面, 大量の水の乾燥地への持ち込みは土壌の塩類化を顕在化し, 甚大(じんだい)な土壌塩類化のために農業開発が失敗し, 砂漠化を助長するケースも多くなっている。砂漠緑化の水資源開発がたとえできたとしても, その水質が低塩分濃度につねに維持されていなければ, 持続的な生物生産の実現はきわめて困難であることを指摘した。

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© 1992 公益社団法人 日本化学会
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