抄録
南極上空のオゾンホールは年々規模が拡大し, 最悪の状態が続いている。先進諸国が多い北半球上空でも著しいオゾン減少が観測されている。これら成層圏オゾン層破壊をもたらす人工物質フロンは, 10年前の1987年に締結された「モントリオール議定書」により1990年から国際的に規制され, その後先進国における生産は全廃された。その結果, 大気中濃度増加傾向にも少しずつ変化が現れている。これらフロン類の大気中濃度の分布と変動の現状, 代替フロンの利用状況, オゾン層破壊や地球温暖化など将来の地球環境への影響について紹介した。