化学と教育
Online ISSN : 2424-1830
Print ISSN : 0386-2151
ISSN-L : 0386-2151
クラビット/レボフロキサシンの開発経緯 : ニューキノロン系合成抗菌薬(日本で生まれた医薬品)
早川 勇夫
著者情報
解説誌・一般情報誌 フリー

1999 年 47 巻 11 号 p. 740-743

詳細
抄録
抗菌薬は抗生物質と合成抗菌薬に大別される。商品名クラビット[一般名レボフロキサシン(9-1)]はニューキノロンと総称されるキノロン系合成抗菌薬であり, この系統では初の光学活性体である。グラム陰性菌からグラム陽性菌に対し強い抗菌活性を示し, 広い抗菌スペクトルはマイコプラズマ, 結核菌などにも及ぶ。さらに高い安全性と良好なヒトでの体内動態を兼ね備え, これらの特徴は種々の感染症に対する高い有効性となって臨床効果に反映している。9-1は現在繁用されている抗菌薬の中でも抗生物質を越えた画期的な合成抗菌薬と言っても過言ではないほどの完成度の高い薬剤として, 日本をはじめ世界各国で経口, 注射の両剤が(本邦では, 経口剤のみ)上市されているが作用機作の新規な独創品ではなく, 多くのグループによる30年にわたる改良研究で得られた知見に筆者等のグループによる研究成果を加味したドラックデザインと幸運とにより生まれた薬剤である。
著者関連情報
© 1999 公益社団法人 日本化学会
前の記事 次の記事
feedback
Top