化学と教育
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マイナスイオン環境が生体に及ぼす効果(住まいの化学 2)
寺沢 充夫
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2002 年 50 巻 12 号 p. 840-843

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抄録

空気中ではマイナスイオンとプラスイオンが同時に存在している。生体の中でもマイナスイオンとプラスイオンが生体イオンとして存在し, これをイオンバランスと呼んでいる。これらのイオンの違いや発生量の違いが生体に及ぼす効果に影響を与えている。ラットをコントロールグループ(イオン環境にしない通常の状態)とマイナスイオン環境にしたグループ, プラスイオン環境にしたグループそれぞれ5匹ずつ3群に分け, イオン環境にさらす。コントロールを基準とした場合, プラスイオン環境では多量のピルビン酸が発生し, それを分解するために多量のチアミン(ビタミンの種類ではビタミンB_1と呼ばれる)が消費される。その時, 多量のチアミンが血液によって肝臓から中枢に運ばれる。その結果, 肝臓に含まれるチアミン濃度は低くなった。マイナスイオン環境では乳酸の発生を抑え, チアミンの消耗を少なくし, 生体に良い効果をもたらしていることが示唆された。

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© 2002 公益社団法人 日本化学会
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