2002 年 50 巻 9 号 p. 646-649
理論化学, とりわけ, 量子化学の計算機実験を, 大学前期過程教育の実験を取り入れることの意義と問題点を検討し, 東京大学教養学部の試みに即して, 具体的な方策, 教育的成果等について報告する。パソコン及び優れたコンピュータソフトウェアの普及により, 一部の学生達は, 実験室で教官やティーチング・アシスタントの指導の下に習得した「量子化学実験」を, 自宅においてまで行うようになった。モノに触れるという化学的リアリティと, コンピュータを利用することの折り合いを追求する。