2003 年 51 巻 7 号 p. 402-405
ヒトはそれぞれ顔や体型が異なるように個性を持っている。このような個性はしばしば親から子へ遺伝することを,我々は経験的に知っている。これは,各個人のDNAに書き込まれた情報が微妙に異なることに由来している。最近では,体質や性格までもがDNAの仕業であることがわかってきており,ゲノム配列の解読が終了した今,これまで以上に遺伝子とヒトの個性の関係について,関心が高まっている。また,そのような遺伝子の違い(遺伝子多型)はしばしば病気のなりやすさや,治療薬に対する副作用の強弱に関わることが知られ,遺伝子多型の研究は病気の発症原因の探求と治療法の開発にも大きな貢献をしている。