抄録
ドイツの前期中等教育(通年で第5〜10学年)における理科(化学)教育について,教育課程と教科書を中心に報告した。教育課程の基準では,理科の意義が人格形成や一般教育の立場から示されていること,理科の目標としては科学的な見方や考え方の育成に止まらず,それに基づいて社会における責任ある意識や行動力の育成が求められていること,また,教科書では,生徒の自然認識の過程が配慮されていること,化学史的内容が数多く取り扱われていること,問題解決型・課題追究型の活動を設けられ,生徒の主体的な探究能力の育成がなされていることなどが明らかとなった。