2008 年 56 巻 6 号 p. 250-253
病気やけがで損傷を受けた骨や歯の機能を修復するために,無機材料(セラミックス)や金属材料が使用されている。それらには,生体への安全性や組織との親和性に加えて,荷重を支える役割を担う機能ならびに使用上の機能も要求される。セラミックスや金属材料を用いることによって,生体に対して化学的に安定なバイオイナート(生体不活性)な材料だけでなく,生体内での表面反応を利用する生体活性な材料や,次第に体内で分解される生体吸収性を示す材料も,骨の治療を担うために実用化されている。本稿では,骨や歯の修復に利用されている生体材料としてのセラミックスや金属材料について概説する。さらに,これまでに用いられてきた材料に残されている課題を考えながら,今後の展望についても触れる。