2013 年 61 巻 8 号 p. 384-387
ハチやハエのような進化した昆虫は,毎秒数百回の頻度で羽ばたくことができる。この羽ばたきを担うのは,高速振動に適するよう非常に特殊化した非同期型飛翔筋である。非同期型飛翔筋は,通常の収縮弛緩のサイクルを繰り返すのでなく,常に活性化された状態で自励振動を行うことにより,高い羽ばたき頻度を実現している。この自励振動を行うために重要な機能が,伸張による活性化である。非同期型飛翔筋を構成するタンパク質分子は結晶のように規則正しく配列するが,これは伸張による活性化を効率よく起こすための適応と考えられる。