2013 年 61 巻 8 号 p. 388-391
ミツバチが花から蜜を集めたものがそのままハチミツになるものと思われがちだが,決してそうではなく,両者の間には大きな隔たりがある。その隔たりこそが,花蜜をミツバチがハチミツへと加工した証といえる。花蜜をハチミツに変える過程には,物理的過程(濃縮)と化学的過程(糖組成の改変)の2系統があり,行動的にあるいは生理状態を反映してミツバチが行うことの結果として完成されるのがハチミツである。ミツバチは人類よりも早く500万年前には地球上に登場しており,ハチミツこそが地球上で最初の加工保存食品と呼ぶべきものでもある。