2016 年 64 巻 8 号 p. 396-399
氷結晶の表面は,融点(0 °C)以下の温度であっても,擬似液体層と呼ばれるごく薄い液膜で覆われている。氷表面が擬似液体層で覆われる現象は表面融解と呼ばれ,その存在は約30年前に実験的に証明されたが,その様子を実際に可視化できるようになったのはごく最近のことである。我々はオリンパスと共同で,高さ方向には原子・分子レベルの分解能を有する光学顕微鏡を開発した。そして,この顕微鏡を用いて氷結晶表面を観察したところ,異なる2種類の形状(液滴状と層状)を有する擬似液体層が存在することがわかった。本稿では,擬似液体層について最近わかってきた不思議な振る舞いを紹介する。