化学と教育
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講座:光と色と物質
紫外可視分光光度計の材料評価への応用
鈴木 仁子
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2017 年 65 巻 2 号 p. 80-83

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抄録

紫外可視分光光度計は,紫外領域から可視領域の任意の波長の光を試料に照射し,入射した光の量に対する透過または反射した光の量の比率を測定する装置である。紫外可視分光光度計は,生化学分野におけるタンパク質や核酸の定量,水質分析における含有物質の定量など,幅広い溶液定量分野で汎用的に利用されている。しかし近年,紫外可視分光光度計は定量分析だけでなく,材料評価にも用いられるようになってきている。例えば,材料の透過率・反射率スペクトルを測定し,色や紫外線防御効果を数値化することで,工業製品の色やサンスクリーン剤の効果を人の主観ではなく,客観的に判断することができる。また,紫外可視分光光度計に絶対反射率測定ユニットを付属させたシステムを用いることで,反射防止膜や誘電体多層膜ミラーなど,低反射率から高反射率を示す材料の反射率評価を行うことができる。さらに,CDなど構造色を有する物質の色彩評価など,多様な評価が可能である。

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© 2017 公益社団法人 日本化学会
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