化学と教育
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シリーズ:教科書から一歩進んだ身近な製品の化学 ―カラダの化学―
皮膚と化学
—内と外の境界—
前田 憲寿
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2017 年 65 巻 2 号 p. 84-85

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抄録

化学の世界では,異なる物質相が接する界面での様々な現象を化学的に捉える「界面化学」という分野がある。皮膚を理解するうえで,界面すなわち境界の現象を理解することも重要である。なぜなら,皮膚は生体と環境の境界に存在しているからである。皮膚の最外層の角層は大気と生体の境界に形成される。絶えず新しい角層に生まれ変わり,不要な角層は垢となって剥がれ落ちる。このシステムは,季節に応じて最適な角層が形成されるように,環境に適合できるように遺伝子の発現で制御されている。皮膚は環境適合性が良い臓器なのである。

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© 2017 公益社団法人 日本化学会
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