2017 年 65 巻 9 号 p. 452-455
高等学校の化学で,光を発する現象として最初に出てくるものは炎色反応である。この反応においては原子が外部からエネルギーを与えられ,安定した基底状態から不安定な励起状態にされる。この励起状態にされた原子が基底状態に戻るときに吸収したエネルギーを可視光線の領域で放出する。ここでいうエネルギーは熱のほかに光,電気などもある。しかし,光を発する現象は炎色反応以降は記述がほとんどなく,有機化合物の分野で紹介されている程度である。自ら光を発する生物や紫外線などを照射することで光を発する鉱物が確認されている中から,身の回りにある発光現象とアルカリ土類金属を主とする無機物質を母体として取り扱う実験を紹介する。