化学と教育
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ヘッドライン 化学遺産,遺跡をたずねる Part 2
小川正孝のニッポニウム発見—その劇的な展開
吉原 賢二
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2018 年 66 巻 1 号 p. 4-7

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抄録

ニッポニウムは小川正孝が1908年に発見を報告した元素名である。一時世界的に評価されたが追試が成功せず,周期表から消え去り,幻の元素のように思われていた。しかし,その後1990年代から東北大学の後輩教授である吉原による現代化学的再検討によって,ニッポニウムの実体は75番元素レニウムと判明した。小川の生涯にわたる研究への熱き情熱,その最期の悲劇,吉原に注がれたセレンディピティー(幸運な偶然)などまことにドラマティックというほかない。化学史上も化学教育上も興味深いものである。

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© 2018 公益社団法人 日本化学会
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