2019 年 67 巻 4 号 p. 166-167
物質を分離する技術には,微細な穴(細孔)や分子自体が有する空間を利用する方法がいくつかある。中でも,膜分離法はそのようなミクロ空間を利用する典型的な分離法である。分離膜には様々な種類があり,その内部構造が異なる。分離機能層の厚みも数ミクロンから数十ナノメートルの範囲で異なり,断面方向に対して非対称構造を有する膜もある。分離対象もイオンからコロイドまで,様々なサイズを対象とする。そのようなミクロな構造物中でおこる現象の正確な理解には,ミクロな場での物質移動を具体的に想像する力が必要である。本稿では,分離膜の研究を通じて,ミクロな視点に立った想像力の育成に関する研究指導について紹介する。