2021 年 69 巻 7 号 p. 300-303
化学者から眺めると,生命活動は緻密に制御された化学反応の織りなす作品と言える。多くの分子の機能が注目されるが,実際は分子間の相互作用が重要で,なかでも静電相互作用は遠達力で極めて重要な作用力である。反対電荷のイオンが相互作用して形成する塩は生体内でも多く見出される。本稿では,このような静電相互作用を積極的に『デザイン』することによって,形成される塩の特性を大きく変える方法論を実例と共に紹介し,それによって新たに見出される物性や機能についても紹介する。