2022 年 70 巻 3 号 p. 118-121
化合物の物性や化学反応は,その分子に内在する電子により支配される。このような電子の状態を演繹的に評価する方法として,量子化学計算は約一世紀に亘って大きく発展し,現在では一種の装置としての地位を確立している。一方,近年ではデータに存在する法則を帰納的に見出す,人工知能(AI)技術の発展が目覚ましい。本稿では量子化学計算による確かなデータに基づき,AI技術を用いて帰納的に理論を構築することで,量子化学をさらに深化させる研究の現状と将来について解説する。