2007 年 58 巻 3 号 p. 413-421
古代中国の「傷寒論」には経絡を意識した記載がある。経絡とは経穴の機能的連絡ルートであるが, 日本の漢方界では目に見えないものとして無視をしてきた。しかし, これを自律神経の作用ルートとして経絡を理解すれば「傷寒論」の条文がよく理解できる。また鍼灸治療の立場からは要穴といわれる経穴は自律神経作用点として重要な意味をもっている。「井」穴はアドレナリン分泌作用, 「栄」穴はIFNγ分泌作用「兪」穴はPGE2分泌作用などのように, 自律神経系への作用を理解することは鍼灸治療の際に重要である。