日本東洋医学雑誌
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臨床報告
薯蕷丸が食欲と全身状態の維持に有用であった末期肺癌の一例
伊藤 隆仙田 晶子山本 佳乃子斉藤 康栄鏡味 勝青柳 晴彦蓮田 昌夫中原 朗
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キーワード: 終末期医療, 食欲, 薯蕷丸, 肺癌
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2009 年 60 巻 1 号 p. 87-92

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抄録

薯蕷丸は金匱要略収載の方剤で治験例は殆どない。今回,末期肺癌で食欲と全身状態の維持に有用であった一例を報告した。
62歳女性。主腫瘍は左下葉にあり,両側胸膜,縦隔に浸潤していた。転移は骨折した左大腿骨を始め,腸骨,胸腰椎,肝臓に及んだ。発症後5カ月の時点で薯蕷丸を開始した。すでにステロイド剤・麻薬を用いており,全身状態は極めて不良であった。服薬開始後,食欲回復,栄養状態の改善を認め,QOLの維持にも貢献し,その後2カ月生存した。経過中,胸水細胞診にて腺癌が診断された。
薯蕷丸は作成に手間のかかる方剤であるが,厥陰病期の患者の全身状態を改善できる薬であり,より使われて良いと考え報告した。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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