気鬱,気虚に水滞を兼ねた病態に対して茯苓飲合半夏厚朴湯が著効した3症例を経験した。これを基に気鬱,気虚に水滞を兼ねた30症例(男性6例,女性24例)に茯苓飲合半夏厚朴湯を投与したところ25症例で有効であった。有効例ではのぼせを自覚する者が比較的多くみられた。有効例で心窩部痛あるいは心窩部不快感を訴える場合には必ず動悸,胸焼け,胸部圧迫感,呼吸困難などの胸部症状を伴った。他覚所見では腹部動悸,胃部振水音が有効例に高率に認められた。茯苓飲合半夏厚朴湯を投与する場合に上記の自他覚所見の有無を確かめることでより高い精度で処方決定しうる可能性が示唆された。