日本東洋医学雑誌
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臨床報告
芍薬甘草湯の併用が症状の改善に有効であった破傷風の1例
中永 士師明
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2009 年 60 巻 4 号 p. 471-476

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抄録

芍薬甘草湯は筋弛緩目的に使用される漢方薬である。今回,破傷風の全身痙攣の緩和目的に芍薬甘草湯を併用した1例を経験した。患者は32歳の男性で,飼い犬に咬まれた咬傷から破傷風を発症した。全身痙攣に対してプロポフォールを投与し,芍薬甘草湯も併用したところ,プロポフォールを漸減することができた。持続勃起症,腹痛,振戦,不眠などが一過性にみられたが,芍薬甘草湯の服用を継続することで消失した。患者は後遺症なく第14病日に退院した。これまでに破傷風に芍薬甘草湯を使用した報告はないが,筋痙攣の制御や自律神経系過緊張の緩和を目標に使用できると思われた。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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