日本東洋医学雑誌
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原著
性器脱に対する補中益気湯の臨床効果について
丸山 晋司
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2009 年 60 巻 6 号 p. 591-594

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抄録

性器脱に対する漢方の有用性を検証するため,当院で経験した性器脱症例37例に補中益気湯エキス(7.5g/日)を投与し,症状の変化,脱の程度と有用性の関連,最終的転帰,有害事象の有無を調査した。症例の平均年齢は68.7歳であり,経産回数の平均は2.5回で,未産婦,5回以上の経産婦はいなかった。自覚的に下降感が軽減・消失したもの(著効+有効)は全体の48.9%であった。最終的な転帰は有効で継続中6例,軽快し廃薬となったもの6例,手術となったもの10例,リングペッサリー装用となったもの9例,漢方を中止し経過観察中5例,有害事象にて中止1例であった。補中益気湯は性器脱に対しほぼ50%の有効性があり,リングペッサリーや手術を望まない患者に対してまず試してみる価値のある治療と考えられた。

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© 2009 一般社団法人 日本東洋医学会
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