日本東洋医学雑誌
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特別講演
標準病名の現状と課題
大江 和彦
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2010 年 61 巻 2 号 p. 203-212

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抄録

国のIT戦略のひとつとして医療情報における標準化が推進されてきた。医療において病名情報は重要であり,病名情報をITにより正確に取り扱うためには,同じ病名にはただひとつの用語を割り当てるという標準化とともに,コンピュータで確実に処理できるように一つのユニークなコードを割り当て流通させる必要がある。標準病名マスターはこの目的で開発されたものである。用語の標準化は日本医学会の用語管理委員会で行われており,コードの割り当ては著者らの委員会が作業を行い,社会保険診療報酬支払基金と医療情報システム開発センターとからマスターコード表として2002年6月からリリースされている。メインテナンスは年に4回実施され,要望にもとづき追加,修正が行われており,用語総数は約22,000語,修飾語が約2,000語となっている。臨床で必要とされる病名情報には,医薬品適応症のようなレセプト請求時に必要となるものもあり,これらを網羅したマスターを作成することは技術的にも困難である。今後は,専門領域の概念の関係データベースであるオントロジーを構築し,それを活用した新しい枠組みが必要になるであろう。

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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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