日本東洋医学雑誌
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臨床報告
3D画像解析からみた少腹急結の客観的評価
西田 欣広楢原 久司織部 和宏
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2010 年 61 巻 6 号 p. 856-859

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抄録
少腹急結は瘀血の腹証で桃核承気湯を用いる一指標といわれている。今回,3D画像を用いてその病態を明らかにするため解剖学的解析を行なった。対象は女性20人(うち少腹急結を認めるもの4人),男性11人(同2人)。腹壁の所見として腹直筋幅,厚さ,浅腹壁動脈およびその回旋枝の走行異常の有無について解析した。腹腔内は腹壁直下の腸管所見について解析した。さらに左右の腹直筋離開(画像的に小腹不仁あり)の有無について検討した。女性群では年齢(53.1 ± 18.3 vs.33.0 ± 9.8,p < 0.05),経産数(1.5 ± 1.0 vs.0.25 ± 0.5,p < 0.05),腹直筋の厚さ(8.14 ± 2.5 mm vs.12.4 ± 1.6 mm,p < 0.05)において明らかな有意差がみられた。また,少腹急結を認める症例では腹壁直下のS状結腸部に便塊,ガス像を認めた。男性では有意差は見られなかった。少腹急結の腹証形成に腹直筋下部の局所的攣縮がその一因と考えられた。男性は女性とは別の機序が関与している可能性が考えられ性差を考慮する必要があると思われた。
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© 2010 一般社団法人 日本東洋医学会
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