日本東洋医学雑誌
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東洋医学の広場
日中の伝統医学教育システムの相違
高 鵬飛宗形 佳織詹 睿今津 嘉宏松浦 恵子相磯 貞和渡辺 賢治
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キーワード: 漢方, 中医学, 教育システム
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2012 年 63 巻 2 号 p. 131-137

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抄録

日本の医学部における漢方医学教育と中国の中医薬大学(中医・中西医の教育課程)および医科大学(西洋医の教育課程)における中医学教育を比較した。日本の漢方医学教育は2001年に文部科学省の医学教育モデル・コア・カリキュラムに組み込まれたものの,6年間の約4000コマの講義数に対して,わずか8コマ程度である。一方,中国の中医薬大学では5年間の5割を中医学,残り5割を西洋医学の課程が占めている。また医科大学においても80コマの中医学講義がある。一方,教育内容に関しては日本の漢方教育や卒後教育は「傷寒論」と「金匱要略」を重視しているが,中国の中医学教育は中医陰陽五行学説や臓腑経絡理論などを重視している。現在,日本では卒後教育の強化により専門医数が増えつつある。一方で中国は中医学を専門とする医師が減少している。伝統医学を継承する根源となる教育は両国の伝統医学の発展にとって非常に重要であると示唆された。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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