日本東洋医学雑誌
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東洋医学の広場
ドイツの4ヵ所の医療施設における統合医療の現状
高山 真岩崎 鋼渡部 正司神谷 哲治平野 篤松田 綾音沼田 健裕楠山 寛子沖津 玲奈菊地 章子関 隆志武田 卓八重樫 伸生
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2012 年 63 巻 4 号 p. 275-282

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抄録

古くからヨーロッパでは自然療法を取り入れて健康を保つ方法が一般的に行なわれてきており,特にドイツでは統合医療に補完・代替医療が積極的に導入されている。ドイツでも有名な4つの施設,ミュンヘン大学麻酔科ペインクリニック,TCM Klinik Bad Ko¨tzting, Immamuel Krankenhaus, ZenHaus Klinik を視察し統合医療の現状を報告する。各施設では,慢性疼痛に対する4週間プログラム,中国伝統医学中心の治療,自然療法主体の治療,日本伝統医学にアロマテラピーを加えた治療など,各々の施設で特徴的な治療方法が行なわれていた。ドイツでは多くの病院,クリニックで補完・代替医療が盛んに行なわれているが,その広がりの一つにドイツにおける医療保険制度が挙げられる。公的保険では治療の一部,プライベート保険では広い範囲で補完・代替医療に対する保険償還が行なわれる。歴史的背景に加え,このような制度も統合医療の広がりに影響を与えていると考える。

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© 2012 一般社団法人 日本東洋医学会
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