更年期男性の不定愁訴に対して白虎加人参湯が有効であった2例を報告する。更年期男性に出現する様々な不定愁訴に対して,男性にも更年期障害が存在することが1939年に米国で報告された。その後,加齢男性性腺機能低下症候群(以下 LOH 症候群)という言葉が採用され,そのガイドラインが作成された。2症例とも更年期男性であり鑑別診断として LOH 症候群が挙げられたため,その診断基準のひとつであるAMS スコア(Aging Males Symp toms rating scale)を行った。症例1は48歳男性。主訴は連日続く頭痛で,鎮痛剤を多用していた。初診時の AMS スコアは85点中27点であり,軽度の LOH 症候群も疑われた。症例2は48歳男性。主訴は一日に頻繁に起こるほてりであった。AMS スコアは42点であり,中等度の LOH 症候群が疑われた。
更年期男性の不定愁訴は男性ホルモンの低下により生じると考えられ,その治療にはアンドロゲン補充療法や漢方薬などが用いられる。漢方薬としては八味地黄丸や加味逍遥散などが用いられることが多いが,今回の2症例は問診から口渇と多飲があったため白虎加人参湯を投与し著効を得た。
抄録全体を表示