日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
ISSN-L : 0287-4857
臨床報告
肺非結核性抗酸菌症の繰り返す血痰に炙甘草湯と薏苡仁の併用が奏功した1例
桒谷 圭二貝沼 茂三郎久保田 正樹古庄 憲浩
著者情報
ジャーナル フリー

2013 年 64 巻 2 号 p. 115-118

詳細
抄録

肺非結核性抗酸菌症は,西洋医学的治療に抵抗を示す難治性の呼吸器疾患である。今回Mycobacterium avium complex を起炎菌とする肺非結核性抗酸菌症の繰り返す血痰に炙甘草湯と薏苡仁の併用が有効であった症例を経験した。症例は86歳女性。X-4年6月発症の肺非定型抗酸菌症にて呼吸器科で治療中,血痰を繰り返し,その都度止血剤にて対処されていた。X 年春頃から血痰悪化。呼吸器科にて止血剤投与されるも改善しないため当院受診。他の内服薬を変更することなく炙甘草湯と薏苡仁の投与により血痰は速やかに消失した。これまで炙甘草湯は,不整脈や心臓神経症など循環器疾患に頻用されているが,呼吸器疾患への報告は少ない。しかし古典にも呼吸器疾患への使用の記載があり,特に脈結代を伴っている呼吸器疾患にはもっと広く使用される方剤ではないかと考えられた。

著者関連情報
© 2013 一般社団法人 日本東洋医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top