日本東洋医学雑誌
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臨床報告
呼吸器症状に着目して柴胡桂枝乾姜湯を投与した更年期女性の4症例
木村 容子永尾 幸黒川 貴代佐藤 弘
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2013 年 64 巻 3 号 p. 166-172

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抄録

更年期不定愁訴には加味逍遙散や桂枝茯苓丸などが頻用されるが,虚証タイプには柴胡桂枝乾姜湯が有効とする報告がある。一方,呼吸器症状は更年期スコアに含まれず,随伴症状として重要ではないと考えられてきた。今回,比較的軽微な呼吸器症状を訴える更年期女性に対して柴胡桂枝乾姜湯を投与したところ,更年期症状と呼吸器症状が共に改善した4症例を経験した。
症例1は疲れやすい,風邪を引きやすい,咳が出やすい,ホットフラッシュ,不眠がみられた49歳女性,症例2は疲れやすくイライラと空咳を訴えた47歳女性,症例3は疲れやすく,鼻詰まりおよび歯肉が腫れやすい51歳女性,症例4は冷えのぼせと不眠,喉のイガイガ,空咳が多いと訴えた53歳女性であった。
呼吸器症状は,柴胡桂枝乾姜湯に関する多くの口訣の中で,処方鑑別に役立つと考えられた。虚証で冷え,気虚,気うつによる呼吸器症状がみられる更年期女性に柴胡桂枝乾姜湯が処方選択の一つになる。

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© 2013 一般社団法人 日本東洋医学会
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