日本東洋医学雑誌
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臨床報告
柴胡加竜骨牡蠣湯が奏効した眼瞼痙攣の1例
中江 啓晴熊谷 由紀絵小菅 孝明
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2014 年 65 巻 1 号 p. 1-4

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抄録

【緒言】眼瞼痙攣(眼瞼攣縮)は眼輪筋,皺眉筋など眼瞼運動に関与する筋肉の不随意の収縮により開瞼が困難となる状態で,局所性ジストニアに分類される。【症例】患者は61歳女性,半年前から出現した眼の違和感を主訴に当科受診。眼瞼痙攣と診断,柴胡加竜骨牡蠣湯の内服を開始したところ改善傾向となり,少量の芍薬甘草湯を追加したところ更なる改善が得られた。患者の希望により芍薬甘草湯を増量し芍薬甘草湯単剤投与に変更したところ症状が悪化,以前の処方に戻したところ改善が得られた。【考察】眼瞼痙攣を含む頭部ジストニアの発症機序として中枢神経系にある基底核運動ループの障害が提唱されている。柴胡加竜骨牡蠣湯は中枢神経系に作用すると推測されることから眼瞼痙攣を改善した可能性がある。【結語】柴胡加竜骨牡蠣湯の眼瞼痙攣に対する有効性が示唆された。

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© 2014 一般社団法人 日本東洋医学会
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