日本東洋医学雑誌
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臨床報告
胸背部痛に栝楼薤白白酒湯,栝楼薤白半夏湯が奏効した二症例
石毛 達也早崎 知幸鈴木 邦彦及川 哲郎花輪 壽彦
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2014 年 65 巻 2 号 p. 73-78

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抄録

胸背部痛に栝楼薤白白酒湯と栝楼薤白半夏湯が奏効した二症例を報告する。症例1は67歳の男性で大腸癌肝転移で化学療法2カ月後に左胸背部痛が出現した。骨転移を疑い骨シンチなど精査を行ったが原因不明であった。栝楼薤白白酒湯を処方したところ,内服2週間で胸背部痛は軽減し,内服3カ月で消失した。症例2は40歳,男性。右胸背部痛を自覚し,CT や内視鏡検査など精査を受けたが原因不明で,鎮痛剤の処方を受けたが改善しなかった。栝楼薤白半夏湯を処方したところ,内服1カ月で胸背部痛は改善した。本二症例では,『金匱要略』の記述にそれぞ れ「胸背痛」「心痛徹背者」とあり,これらの胸痛の性状を主目標として処方し,短期間に症状が改善した。本症例の経験から現代医学的検索でも診断のつかない胸痛症例に対しても本方が奏効する可能性があるものと考える。さらに構成生薬の効能や酒煎の効果が胸痛に対する即効性に関与するものと考える。

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© 2014 一般社団法人 日本東洋医学会
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