2017 年 68 巻 4 号 p. 339-344
当帰芍薬散加地黄に相当するエキス製剤2剤の併用が有効であった16症例を経験したので報告する。全例女性で年齢の中央値35.5歳(範囲22-62歳),疾患は不妊症5例,皮膚疾患5例,婦人科疾患2例,冷え症2例,オトガイ神経知覚異常と倦怠感それぞれ1例。全症例で当帰芍薬散証に強い血虚を認めていた。不妊症5例は全て治療1年以内に妊娠した。他疾患は症状の程度が初診時の半分以下までに軽減した。掌蹠膿疱症の1例と慢性湿疹ではステロイド外用剤なしでも良好な状態となった。当帰芍薬散証で血虚の程度が強い場合,加地黄が有用だと思われる。