日本東洋医学雑誌
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臨床報告
腰椎疾患の下肢症状に対する漢方治療の後方視的調査
濱口 眞輔小松崎 誠北島 敏光恵川 宏敏
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2017 年 68 巻 4 号 p. 366-371

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抄録

当院を受診した腰椎疾患のうち,変形性腰椎症,腰部脊柱管狭窄症,腰椎手術後症候群による下肢の痛み,冷え,痺れを呈する患者を診療記録から抽出し,漢方薬による治療効果について調査した。評価項目は下肢の痛み,冷え,痺れの有無,先行した疼痛治療法,選択した方剤とその効果とした。その結果,これらの疾患による下肢痛,冷感,痺れに対して,証に随って先行鎮痛治療に追加した漢方薬としては桂枝加朮附湯,真武湯,苓姜朮甘湯,当帰四逆加呉茱萸生姜湯,牛車腎気丸,芍薬甘草湯の処方例が多く,痛みは60例中32例(53%),痛みと冷えの合併には34例中17例(50%)と概ね半数の症例に効果がみられたが,痛みと痺れの改善は19例中4例(21%)のみであった。桂枝加朮附湯,苓姜朮甘湯,牛車腎気丸,当帰四逆加呉茱萸生姜湯,真武湯の先行鎮痛治療への追加処方は腰痛疾患による下肢症状緩和に有用であると結論した。

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© 2017 一般社団法人 日本東洋医学会
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