2018 年 69 巻 2 号 p. 161-167
持続する吃逆は患者のQuality of Life を大きく損なうため速やかな治療が求められるが,時に治療に難渋する。 当院では,吃逆の治療に柿蔕湯を日常的に用いており効果を実感しているがその有効率についてのデータは無いままであった。
そこで2014年2月1日~2016年2月28日までの25ヵ月間に,吃逆を主訴として当院漢方内科を受診し,第一選択薬として柿蔕湯が処方された患者について,カルテを後方視的に調査し検討した。対象患者は27名(女性3名),年齢65.4±15.1歳(24~89歳)であった。対象者の59.3%で奏効し,症状軽快例を含め全体の66.7%に効果が認められた。投与後2日以内に効果を確認できる例が多く,有効例の88.9%が投与開始4日以内に効果を確認できた。
証によらず病名処方的に投与を行った例も多くあったにも関わらず有効率が高く,臨床的に非常に重要と考えられた。