日本東洋医学雑誌
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臨床報告
体外受精の段階に合わせ決まったパターンで漢方薬を投与した20症
高橋 浩子日笠 久美鎌田 周作鎌田 ゆかり
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2018 年 69 巻 3 号 p. 252-261

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抄録

不妊専門クリニックと患者情報を共有しながら,不妊患者に多い腎虚や瘀血の病態を考慮し,体外受精・顕微授精の採卵までは卵子の成熟を促し瘀血を改善する目的で補腎陰陽の八味地黄丸と駆瘀血作用の桂枝茯苓丸,採卵後移植までは,子宮内膜安定化の目的で温経・補血・駆瘀血の温経湯単独か桂枝茯苓丸を併用,移植後は安胎作用の当帰芍薬散を投与した20例を報告する。なお投与量については個々の状態に応じて調整した。20例中14例が妊娠反応陽性,うち10例が妊娠継続,4例は流産等。アンチミュラー管ホルモン値,子宮内膜厚,予測卵胞数,回収卵子数,受精卵数,初期胚到達数,胚盤胞到達数を,妊娠継続群と非妊娠群で比較したところ,子宮内膜厚以外で漢方併用後の数値の改善がみられ,回収卵子数と受精卵数で有意差を認めた。補助的な治療として,体外受精の段階にあわせた漢方薬は有効である可能性が示唆された。

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© 2018 一般社団法人 日本東洋医学会
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