日本東洋医学雑誌
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臨床報告
提肛散が肛門痛を伴う内痔核脱肛に有効であった1例
青木 ゆかり及川 哲郎小田口 浩花輪 壽彦
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2018 年 69 巻 3 号 p. 287-290

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抄録

提肛散は補中益気湯の加減方であり,補中益気湯から大棗,生姜を除き,川芎,黄芩,黄連,白芷,赤石脂を加えたものである。本方は,補中益気湯より痛みの強い脱肛に用いるとされるが,これまでに臨床報告は少ない。今回我々は肛門痛を伴う内痔核脱肛に対して提肛散が有効であった1例を経験した。症例は47歳女性で主訴は内痔核の痛みを伴う脱肛である。補中益気湯も考慮されたが肛門痛が強かったため,特に鎮痛消炎作用を強めるために白芷,黄芩,黄連を含む提肛散料を処方したところ,肛門痛や痔核,脱肛などの症状改善が認められた。提肛散は,脱肛の中でも肛門痛あるいは炎症が強い場合,検討されるべき処方の一つと考えられる。

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© 2018 一般社団法人 日本東洋医学会
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