2019 年 70 巻 2 号 p. 175-180
『難経』の書名は難解な問題(難問)の経典,あるいは「難を問う経典」であると理解されてきた。「難」の字義を明らかにすることによって,筆者はこの経典の名前の本当の意味は難解ではなく不易(かわらぬもの)に依るものであることを提案した。本書は宇宙の変化を扱った『易経』に対峙して『難経』と命名され,鍼法の分野を確立するために,脈診および鍼法の手技,および経絡と五臓六腑との関係性を示す目的の下に,確かな,不易の事柄を記した画期的な著作に他ならないと考えた。